カレンダーというドキュメンテーション
イタリアのレッジョ・エミリアの研究を調べていると、レッジョ研究のなかでもひとつのキーポイントとなっている「ドキュメンテーション」についての資料が目に留まった。
その研究によると、ドキュメンテーションのタイプには大きく5つ、「作品」「個人のポートフォリオ」「プロジェクトの語り」「子どもの発達の観察」「子どもの自己省察」あるという。
これらの記録が、子どもの成長を総合的かつ客観的に確認する資料になり、先生と保護者との共通認識となり、保護者にとってはある種の安心材料となるのだろう。
ドキュメンテーションの活用の仕方などについては、追って調べていくことにして、
ドキュメンテーションというテーマでひとつ、個人的に試したいことがある。
それは「残り日数カレンダー」である。
カレンダーといえば、日記や手帳と同じような分類ではあるが、カレンダーは記入する内容もある程度限られた文字で、かつ個人的なものというより共有されるもので視覚的要素が強い。
カレンダーに残数を書き込む、というと期末試験前に無駄な足掻きのひとつとして自分を追い込む、という焦燥感のあるイメージが頭をよぎるが、ここで試したいのは、子どもと一緒にいられる残数カレンダーである。
思いついたのは、娘を保育園に送って行った帰り道、ふと夫がいったひと言がきっかけだ。
「あーあと1000回もこの道を通って毎日送り迎えするのか〜……(面倒だな〜)」
私がそこで思ったのは、あと1000回しかないのか!ということだった。
それは、産んでからずっと頭の隅においていた感情でもあった。
あと何回、こうやって抱っこしておっぱいをあげられるだろうか。
あと何回、夜泣きに付き合わされるだろうか。
あと何回、私に抱っこを求めてくるだろうか。
私にとっての「あと何回」は決してマイナスのイメージではなく、「あと何回しかこれをできないんだろう」という、どちらかといえば終わっていくことを惜しみ残りの日々をこうもので、娘への愛おしさを駆り立てるものでもあった。
同時に、不眠で、孤独で、疲れる育児のなかでも、あと何回しかない我が子との時間をより貴重なものに感じることができる魔法のような思考でもあった。
もし、育児に疲れたな、と感じた人がいたら、「あと何日」を思い出してみると、もう少し子どもと向き合ってみようと思えるのではないか。
ただ別の感情を駆り立てる危険性もあるかもしれない。
たとえば、「幼稚園入学まであと何日しかないから、ひらがな覚えさせなきゃ!」など。
あくまで、子育てにかかるストレスを少しでも軽減させるという意味で活用できないだろうか。
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