自分で選ぶ力
先日、わたしのもとに一人の女子大生がやってきた。
入社する会社を迷っており、相談に乗って欲しいということだった。
ひとつは名のしれた大きな会社、もうひとつは数十名規模の会社。
親は当然、大手に入れというが、本人は小さな会社の方も仕事内容に魅力を感じているという。
地元でも優秀な高校、大学を出て、
これまではなんでも親の言葉に従って生きてきたそうだ。
彼女自身、自分で道を選んだ経験が少なく、
社会という自由な場に放たれた時に突然
自分の選択に自信が持てなくなってきたらしい。
いつかは結論を出すことになるのだが、
今後の彼女のことを考えると、どうか自分の意思で決断してほしいと思った。
キャリアについて考えた時も感じたことだが、
自分で選ぶ力は生きる上でとても大切だ。
選ぶ力、というのは、
何かを選んで、何かを捨てる、取捨選択の力。
判断する力である。
仕事をするなかでも、もちろん重要になる。
たとえば、つくる仕事、デザイナーでも編集者、コピーライターでも、
常に選ぶ作業をしている。
選んで、いらないものは思い切って捨て、よりよくしてく。
母になって、働くママになり、
その「選ぶ力」はさらに必要とされることになった。
そもそも、産むのか産まないのか。
仕事は続けるのか辞めるのか。
幼稚園保育園はどうするか。
自分の子育てに必要な情報は何か。
仕事と両立していくために、何を捨てて何を選ぶか。
子どもは日に日に成長していくので、実際には迷っている暇はないのだが
とにかくこれからの社会を生き抜くには
選ぶ目を養い、判断する力を磨く必要があるように思う。
また、これから数年、経済が少しずつ上向き、社会がどう変化するかを考えてみたい。
新しいアプリやシステムを作った人たちが、世の中の流れを大きく動かすようになってきた。
新しさ、新しい切り口に価値が置かれ、昔より一層、情報の流れも複雑かつ早くなっている。
そんななかで、新しい価値を世の中に提供する面白さを味わえるのは、システムを作っている上層部の人たちが殆どで、
それを回転させている数多の人たちは、自分の仕事に「面白さ」を見出しにくくなってきている。
特に労働市場では、新しい仕組みを作っていく一部の人、仕組みに従って回していく大部分の人、その大きな二つのゾーンに分かれており、後者は、仕事に打ち込み新しい事業やサービスを生み出しやすかった一時代前と違って、仕事内容に価値を見出すというより、職場の仲間や仕事と給与の総合点で働き方を選ぶようになっていくのではないだろうか。
仕事に打ち込むだけの人生ではなく、
仕事もプライベートもその他社会活動もバランスよく取り入れていく人がスタンダードになっていく。
そうなると、だ。
実は、「生き方」そのものに、今後よりたくさんの選択肢が表れることになる。
ストレートに大学までいって、足並み揃えて就職活動をして、会社員として働く。
そんな集団就職の時代も、いつか終わりを告げるかもしれないし、
むしろそこに乗っかるのではなく
自分で好きなことやフィットする生き方を切り拓くくらいの力がないと、
生きにくい世の中になってしまうかもしれない。
では、この選ぶ力とはどのように養われるのだろうか?
0コメント